1999年8月、千葉県柏市で当時12歳の
女の子がめまいを訴えて病院に
やってきました。

原因は分からないもののとりあえず
点滴を打ってもらいますが、
症状はさらに悪化。

ろれつが回らなくなり、手足にも
麻痺が表れ、呼吸不全に陥りました。

治療にあたった医師たちも最初は原因が
特定できず、さまざまな病名を
疑いました。

そうして入院から5日目にしてようやく
判明した病名は「ボツリヌス食中毒」
でした。




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ボツリヌス菌の恐怖

ボツリヌス食中毒はボツリヌス菌の
毒素を摂取することで起こります。

ボツリヌス菌自体は土壌や海など
自然界にふつうに見られる菌です。

しかし、その毒素の毒性は自然界で
最強レベルといわれており、なんと
0.5kgで全人類を全滅できるのだとか。

想像を絶する猛毒ですね。

かつてはこのボツリヌス毒素を使った
生物兵器の研究も行われていました。

前述の女の子の症例にもあるとおり
ボツリヌス毒素の付いた食品を
口にすると視力障害・嘔吐・言語障害、
重症化すると呼吸麻痺まで起こります。

この女の子もかなりの重症で、
原因が分かった後に血清などで
適切な治療を受けたもののすぐには
病状の改善は見られず、2ヶ月たっても
人工呼吸器が外せなかったのだ
そうです。

適切な治療を行わなければ致死率は
30%以上とされており、もう少し診断や
治療に手間取っていれば命を落としても
おかしくなかったでしょうね。

結局、彼女は退院まで1年も
かかったのだそうです。

ボツリヌス菌の特徴

このボツリヌス菌の特徴としては
嫌気性菌であるということ。

つまり低酸素状態になると活動や増殖が
活発になり、毒素も作り出されます。

じつはこの女の子も真空パックで
市販されていたハヤシライスを食べた
翌日に発症していました。

のちに同商品を取り寄せて検査した
ところやはりボツリヌス菌が
検出されています。

保存のための真空パックが逆に
仇となったわけですね。

1984年にも熊本県で製造された
真空パックの辛子蓮根を食べた36人が
中毒にかかり、11人が亡くなるという
大惨事も起こっています。

真空パックって安心安全かと思いきや
そうでもないのですね。

辛子蓮根のケースでも滅菌処理が
されていなかったことが原因と
なっており、真空パックに限らず
缶詰や瓶詰めでも滅菌が不十分
であれば発症の可能性があります。

手製のものは特に、市販の商品
であっても注意が必要ですね。

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対策は?

ボツリヌス菌自体は熱に強く100℃で
6時間加熱してようやく不活化できる
のだそうです。

菌自体は熱では簡単に
殺せないわけですね。

しかし、中毒の直接の原因となる
ボツリヌス毒素は100℃で1分から2分
加熱すれば不活化が可能とのこと。

自然界で最強クラスの毒素も加熱に
よって案外簡単に毒性をなくすことが
できるのですね。

この女の子もハヤシライスを事前に
十分加熱していればあるいは
回避できたかもしれません。

意外に身近な食中毒

じつはボツリヌス菌による食中毒は
国内では数年に1件程度の割合で
発生しており、そこまで珍しい
症例ではありません。

ただ、その多くが原因となる食品を
特定できていないそうでこれがまた
不気味ですね。

ハヤシライスだと特定できた女の子の
ケースのほうが稀だったということに
なりますね。

つい最近では東京都で離乳食に蜂蜜を
与えられた乳児が乳児ボツリヌス症
により命を落としています。

乳児ボツリヌス症の場合は菌が
乳児の体内で発芽して毒素を
作り出すことで発症します。

この症状が乳児特有なのは大人と違い
腸内細菌が少ないことや消化管が短い
ことでボツリヌス菌の活動を許して
しまうためなのだそうです。

しかも蜂蜜にはボツリヌス菌が
混入している場合が多いそうで、
これが1歳未満の乳児に蜂蜜を与えては
いけないとされている所以なんですね。

意外に身近なボツリヌス菌。

その毒素は場合によっては
命を落とすほど危険なものです。

食中毒の多くなる夏場などは
特に気をつけたいですね。

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