2003年、テキサス州の銀行に
一人の強盗が現れました。

2,000ドルという銀行強盗にしては
小額の現金を奪って逃走した犯人。

しかしその後、あえなく御用
となりますが、その犯人は
なんと御年91歳。

世界でおそらく最高齢の銀行強盗だと
されていますが、なぜ老い先短い老人が
このような犯行に及んでしまった
のでしょうか。




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栄光と挫折

この老人の名はハンター・ラウントリー
通称レッドと呼ばれていました。

テキサス州の田舎の農場で
生まれ育ったラウントリー。

医者を呼んでも2日はかかる
くらいのド田舎だったのだとか。

不況に見舞われていたため実家の農場は
継がずに兄の紹介で油田会社に勤めて
いたそうですが、その頃に子持ちの
ウェイトレスの女性と出会い
結婚します。

家庭を持ったわけですね。

しかし、結婚した1940年代
当時は米国も世界恐慌の只中。

家庭を持ったにもかかわらず
ラウントリーの仕事も下降線
だったのだそうです。

そこで一念発起したラウントリー。

海上掘削装置のアンカーチェーンの
ウィンチを製造・販売する会社を
起こすと、がむしゃらに働いた
のだそうです。

守るべきものがあると
人間は強くなるんですね。

その努力の甲斐あって事業は
大成功を収め、ラウントリーは
億万長者の実業家となります。

まさに人生の絶頂だったでしょう。

しかし、その幸せは長くは
続きませんでした。

妻の連れ子だった息子が
交通事故で死亡。

大事な家族を失います。

その後、会社を売却し売却益を得ますが
油田開発事業に進出するため銀行から
融資を受けて造船所を買収。

しかし、銀行側が途中で融資を
引き上げたことでラウントリーは
破産してしまいます。

銀行の常套手段である
いわゆる「貸しはがし」
されちゃったんですね。

そこに追い討ちをかけるように
今度は最愛の妻が肺ガンにかかると
50歳という若さでこの世を去って
しまいます。

悪いことは重なるものですね。

そうして家族も財産も
失ってしまったラウントリー。

自暴自棄になってしまったのか、
バーで31歳の若い女に出会ったことが
きっかけで酒と禁止薬物に手を出す
ようになります。

そんなろくでもない若い女に
捕まって、薬にまで手を出すとは
相当にやさぐれてしまっていた
のでしょうね。

結局、この女とは結婚した
ものの、わずか1年で離婚。

このときすでに86歳になっていた
ラウントリーですが、1998年なんと
最初の銀行強盗に及びます。

のちに証言しているところでは
「自分を破産させた銀行への復讐」
が動機だったのだそうです。

何もかもを失ったことで、
彼に残されていたのは復讐心だけ
だったのでしょうか。

当然、逮捕されたラウントリーは
執行猶予3年の有罪判決を受けますが、
その後ふたたび銀行を襲うと今度は
懲役3年の実刑判決を受けました。

そして2003年、5年ぶり3度目の
銀行強盗を行ったラウントリー。

まさに銀行強盗こそが彼にとっての
生きる目的となっていたという
感じすらしますね。

ちなみに3度目の銀行強盗の際には
「強盗」と書いた封筒を若い女性の
出納係に差し出して金を入れる
ように要求。

野球帽を被り長袖Tシャツ姿だった
というラウントリー。

銃も持たずにただ封筒を
差し出しただけ。

さすがに出納係も最初は冗談かと
思ったようです。

まぁ「このおじいちゃん大丈夫?」
って感じでしょうね。

とりあえず銀行側もあとで回収できる
ように現金のナンバーをバッチリ
控えて渡したそうですが。

銀行を出て車で逃走したラウントリーは
わずか30分後に警察によって
逮捕されました。

そもそも逃げ切れるなんて
思っていなかったでしょうけど。

17052901

現在について

3度目の銀行強盗に失敗した
ラウントリーは有罪となり、
懲役12年の実刑判決を受けます。

91歳で懲役12年ってもう塀の
こちら側には戻ってこられない
年数ですね。

その後、テキサス州フォートワースの
高齢者専用の刑務所で服役しますが、
体調を崩してミズーリ州スプリング
フィールドの囚人専用の医療センターに
移され、2004年に死去。

享年92歳でした。

家族もいて億万長者だった彼が最期は
刑務所で一人ひっそりと亡くなる
なんて、なんとも淋しい話ですね。

ふつうなら妻や子供と幸せに暮らし、
孫にも囲まれて静かな余生を送る
人生だったはず。

しかし、神様が与えたのは家族を失くし
財産まで失くすという過酷な運命。

彼が齢90を超えてまで強盗を続けたのは
銀行への恨み辛みだけではなく、
自らの運命への復讐だったようにも
思えますね。

そんな彼の人生を元にドキュメンタリー
作品が作られたほか、短編映画も
製作されました。

強盗など許されることではないですが、
作品になるということはその人生に
少なからず共感・同情できる部分がある
ということなのでしょうね。

その人生の後半は不幸の連続だった
ラウントリーですが、天国では
先に逝った家族とともに安らかに
過ごしていることを祈りたいですね。

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